胎児 中編

2021/10/07 | スタッフブログ
前回の「胎児 前編」では刑法上、胎児は「人」ではなく、
 
同じように民法上も胎児は原則「人」ではない。からの続きになります。
 
 
そもそも民法上の「人」とはなんなのでしょうか?
 
「人」は法律上、権利義務の主体になれる資格を有する者のことです。
そして、この資格を有する者を「権利能力者」といいます。
 
なので民法上、「人」=「権利能力者」ということになります。
 
少し難しい言い方ですが、
 
権利を取得したり、義務を負担したりするには「人(権利能力者)」でないといけません。
 
コンビニでパンを購入するとコンビニから購入者に所有権が移転します。
このようにパンの権利を取得することができるのは購入者が「人(権利能力者)」だから可能となります。
 
逆に、パンを購入すると代金の支払いをしないといけません。これも「人(権利能力者)」だから義務を負担することが可能になります。
 
上記はパンの購入という売買契約をしていますがそれ以外のお金を借りる金銭消費貸借契約、物やお金をあげる贈与契約、建物を新築する請負契約などあらゆる契約は「人(権利能力者)」でなければなりません。
 
私が、他人の庭先に入って犬のドッグフードを盗んだとします。それは間違いなく犬のドッグフードですが、ドッグフード代を返せと損害賠償請求するのはもちろん犬ではなく、犬の飼い主です。そもそも犬は「人(権利能力者)」ではないので、ドッグフードの所有権を取得することも、私に対して損害賠償請求という権利を行使することもできないからです。
 
逆に、他人の犬が私の庭先に入って私にケガを負わせた場合に私が損害賠償請求するのはもちろん犬ではなく飼い主ということになります。犬は損害賠償義務を負担することはできないからです。
 
 人(権利能力者) ―自然人
          ―法人
 
そして「人(権利能力者)」は2つに分かれます。自然人と法人です。
 
「自然人」はターザンではありません。私たち生身の人間のことです。
 
「法人」は「法」が「人」として認めているので「法人」です。典型的なのは会社の株式会社や○○社団法人などです。
 
法人を「人(権利能力者)」として認めたのは何かと便利だからです。株式会社が権利義務の主体になれないと、色々不都合が生じます。株式会社のビルや車などの所有権を認めてあげないと誰の名義で購入するのとなってしまいます。もっと言えばビルや車の保険にも入れなくなります。
また、上記の犬の話ではないですが、権利義務の主体になれないということは、何かの仕事をした場合に、取引先に支払いの請求もできないということになります。
当たり前のように株式会社がビルや車を所有し、保険にも加入し、取引先に支払いの請求をすることが出来るのは法人が「人(権利能力者)」だからです。
 
民法3条1項
「私権の享有は、出生に始まる。」
 
と規定されています。
 
簡単にいうと、自然人が権利義務の主体になれるのは出生の時からです。
 
この規定は法人は含みません。法人はもちろん出産で生まれるわけではないからです。法人は設立登記という手続きによって権利義務の主体になります。
 
話がようやく胎児に戻りますが、この民法3条1項によって胎児はまだ「人」ではない。という事になります。
 
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