胎児 前編

2021/08/08 | スタッフブログ
いきなりですが、日本語って難しいですよね。
 
上司「今日一杯飲みにいかない。」
部下「いいですね~。」
 
上司「今日はおごるよ。」
部下「いいですいいです。」
 
上の「いいですね~」は了解しました行きましょうの肯定の意味です。
下の「いいですいいです」はおごらなくていいですの否定の意味です。
 
英語なら「イエス」か「ノー」なのでしょうか。
 
法律の条文も違った意味で難しいです。
 
「人を殺した者は、死刑又は無期もしくは五年以上の懲役に処する。」
 
刑法199条の殺人罪です。
 
ここで問題になるのが「人」って?「殺した」って?という言葉の意味です。
 
書いてある通りでしょと思うかもしれませんが、胎児を殺害しても殺人罪には原則問えません。
 
何故か?
 
刑法上、胎児は「人」ではないからです。
 
「殺した」はさらに難しいです。
 
例1 ナイフで刺した
例2 バットで殴った
例3 食事を与えなかった
例4 電車のホームで肩がぶつかって相手がホームに転落してひかれた
例5 ドッキリで落とし穴を作って殺してしまった
例6 溺れている人を助けなかった
例7 部下に昼ご飯をコンビニに買いに行ってもらったら車に引かれた
例8 部下に昼ご飯をコンビニに買いに行ってもらったら雷に打たれた
 
すべて「殺した」といえそうですがすべてが殺人罪になるわけではありません。
 
法律の条文も上のような例をすべて具体的に羅列していれば分かりやすいのかもしれません。しかし、お分かりのとおりキリがなく膨大な条文になってしまいます。それに例にのってない事件が発生した場合も非常に困ります。
 
例えば、爪楊枝を100本刺して殺したなど必ず想定していない事件も発生します。
 
そこで法律の条文はどうしても抽象的にせざるを得ません。
 
しかし、抽象的に規定すると今度は前述のように「人」とは何か?「殺した」とはどういう意味なのか?という言葉の意味を決めていかなければなりません。
 
そこで法律(条文)の解釈が必要になってきます。
 
ここで解釈と言ってもそれは絶対的なものではなく解釈する人や時代や社会の価値観によって変わってしまうこともあります。
 
さきほど胎児は「人」ではないので原則殺人罪には問えないと言いました。しかし、時代が変わったり医学の進歩によって胎児もお腹の中で実はお話をしていたとか滅茶苦茶笑ってますとかがわかるようになると胎児も「人」として扱われるようになるかもしれません。
 
民法上でも原則として胎児は「人」ではありません。
 
 
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