「相続の開始」と「相続の効力」
2022/02/03 | スタッフブログ
民法882条「相続は、死亡によって開始する。」
これは読んで字のごとく誰かが死亡すると相続が始まる「相続の開始」を規定しています。
そして相続が開始すると民法896条で、
「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。・・・」
これは「相続の効力」として規定されています。
「被相続人」は死亡した人。「相続人」は財産を受け継ぐ人となります。
「承継する」は引き継ぐことですが所有権を引き継ぐのが基本ですが、所有権以外の権利を引き継ぐこともあります。
例えばAさんがKさんにお金を貸していた場合
AさんはKさんに債権を持っていたことになります。
債権とは「特定の人が特定の人に一定の財産上の行為や給付を請求することができる権利」のことを言います。
少し難しい言い方ですが、要するにAさんはお金を貸していたのでKさんにお金を返せと請求することができます。AさんはKさんに対して貸金債権を持っていることになります。
Aさんが債権者。Kさんが債務者となります。
話が脱線しますが、例えば、コンビニで肉まんを買いました。これも立派な売買契約ですが、お客さんとコンビニのどちらが債権者、債務者でしょうか?
正解はこれだけでは答えられないが答えです。
売買契約をすると2本の債権が発生するからです。
1つは、代金債権。これの債権者はコンビニで代金を請求することができます。
もう1つは、引渡債権。これの債権者はお客さんで肉まんを引渡せと請求することができます。逆に言うと、代金債権の債務者はお客さんで引渡債権の債務者はコンビニとなります。
話を戻して、
AさんがKさんにお金を貸していた場合に、
Aさんが亡くなりBさんが相続しました。
Aさんが亡くなるとKさんの借金はもちろんチャラにはなりません。
AさんのKさんに対する貸金債権はAさんからBさんに相続されます。結果、Bさんが債権者。Kさんが債務者となります。よって、BさんからKさんへお金を返せと請求できることになります。
この場合、所有権以外の権利である債権が相続されたことになります。
「一切の権利義務」とありますのでありとあらゆるものが相続人に承継されます。
なので不動産、動産、債権、預貯金、株式などプラスの財産はもちろんですが、借金や損害賠償債務、滞納していた税金、アマゾンで買物した代金にはてはNHKの受信料までマイナスの財産もすべて承継されます。
ここまでが原則です。
しかし民法896条には続きがあり原則に対しての例外の条文になっています。
「...ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」
「一身に専属したもの」とは難しい言葉ですが、簡単に言うと被相続人(亡くなった人)その人にしか認められないものです。
例えば、会社勤めの父親が亡くなったので、相続が開始し、息子が次の日からその会社で勤務しますとはならないわけです。他にも、年金を受給する権利や当たり前ですが国家資格なども相続されません。
以上が「相続の開始」と「相続の効力」の基本となります。しかし、相続は死亡以外にも開始する場合があります。それはまた次回にします。
次回「失踪宣告」について
これは読んで字のごとく誰かが死亡すると相続が始まる「相続の開始」を規定しています。
そして相続が開始すると民法896条で、
「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。・・・」
これは「相続の効力」として規定されています。
「被相続人」は死亡した人。「相続人」は財産を受け継ぐ人となります。
「承継する」は引き継ぐことですが所有権を引き継ぐのが基本ですが、所有権以外の権利を引き継ぐこともあります。
例えばAさんがKさんにお金を貸していた場合
AさんはKさんに債権を持っていたことになります。
債権とは「特定の人が特定の人に一定の財産上の行為や給付を請求することができる権利」のことを言います。
少し難しい言い方ですが、要するにAさんはお金を貸していたのでKさんにお金を返せと請求することができます。AさんはKさんに対して貸金債権を持っていることになります。
Aさんが債権者。Kさんが債務者となります。
話が脱線しますが、例えば、コンビニで肉まんを買いました。これも立派な売買契約ですが、お客さんとコンビニのどちらが債権者、債務者でしょうか?
正解はこれだけでは答えられないが答えです。
売買契約をすると2本の債権が発生するからです。
1つは、代金債権。これの債権者はコンビニで代金を請求することができます。
もう1つは、引渡債権。これの債権者はお客さんで肉まんを引渡せと請求することができます。逆に言うと、代金債権の債務者はお客さんで引渡債権の債務者はコンビニとなります。
話を戻して、
AさんがKさんにお金を貸していた場合に、
Aさんが亡くなりBさんが相続しました。
Aさんが亡くなるとKさんの借金はもちろんチャラにはなりません。
AさんのKさんに対する貸金債権はAさんからBさんに相続されます。結果、Bさんが債権者。Kさんが債務者となります。よって、BさんからKさんへお金を返せと請求できることになります。
この場合、所有権以外の権利である債権が相続されたことになります。
「一切の権利義務」とありますのでありとあらゆるものが相続人に承継されます。
なので不動産、動産、債権、預貯金、株式などプラスの財産はもちろんですが、借金や損害賠償債務、滞納していた税金、アマゾンで買物した代金にはてはNHKの受信料までマイナスの財産もすべて承継されます。
ここまでが原則です。
しかし民法896条には続きがあり原則に対しての例外の条文になっています。
「...ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」
「一身に専属したもの」とは難しい言葉ですが、簡単に言うと被相続人(亡くなった人)その人にしか認められないものです。
例えば、会社勤めの父親が亡くなったので、相続が開始し、息子が次の日からその会社で勤務しますとはならないわけです。他にも、年金を受給する権利や当たり前ですが国家資格なども相続されません。
以上が「相続の開始」と「相続の効力」の基本となります。しかし、相続は死亡以外にも開始する場合があります。それはまた次回にします。
次回「失踪宣告」について